2003年 声明文・提言

 

米・英による対イラク攻撃に断固反対する

 

元衆議院議員 上田 卓三     2003年3月4日

 私は昨年の11月、ニューヨーク市を訪れ「9・11同時多発テロ」の犠牲になられた方々に再度哀悼の意を表してきた。そこには復興の槌音が聞こえ、 祈りの静寂が流れていた。「戦争の太鼓の音」は聞こえてこなかった。
 去る2月5日、国連安全保障理事会でコリン・パウエル米国務長官は、衛星写真や録音テープなどを見せながらイラクの「隠蔽工作」を主張した。 対イラク攻撃の「決定的証拠」を示すはずだったか、主要国全体が納得いくものではなかった。
 イラクに大量破壊兵器の査察再開を求める安保理決議1441が現在の「国際社会の意思」であることは間違いない。シュレーダー・ドイツ首相の言う 「イラクは平和裏に武装解除されるべきだ」が主要国の共通認識となっている。にも拘らず米国・英国・スペインの3ヶ国は、「国連査察の継続とイラクの武装解除」 を趣旨とした覚書を各国に配布した。中国もこの覚書を指示している。
 小泉首相は「疑惑は深まった」「同盟国として責任ある対応を取る」と即時開戦につながる新決議案に賛成し、国会の場では「イラク攻撃の戦費負担」に応じる姿勢を 示している。日本は世界のなかでも突出したイラク攻撃を準備する米国指示国になっている。日本での各種世論調査でも80%以上の国民がイラク攻撃に反対 しているにも拘らず、小泉首相からは「対イラク攻撃」の明確な説明は未だなされていない。
 大和総研では、3ヶ月以上の戦争になれば、03年の米国経済はマイナス成長、日本は03年より2年連続でマイナス成長になると予測されている。 長期のデフレ経済の下で日本経済は疲弊している。特に中小企業は限界ギリギリのところに追いやられている。デフレ「恐慌」も現実味を帯びてくる。 小泉首相とパウエル国務長官との「資金援助の密約」のウワサが永田町で流れている。とんでもない話だ。戦争突入で世界経済がおかしくなり、マイナス成長が予測 される日本に「資金援助」する余裕がどこにあると言うのか。
 今、全世界がもっとも危惧しているのが米国の「一国主義の独断専行」である。唯一の軍事超大国の米国がやりたいことを決めさえすれば、他国にはそれを指示 する以外に選択肢はないと思わせる抑圧政策である。米国と同盟関係を結んでいる国が努力すべきことは、米国の「一国主義の独断専行を抑圧し、緩和すること」 ではないのか。日本は「委託された役割分担」をこなすだけでいいのか。
 第二次世界大戦で日本全土の都市が焦土と化し、原爆投下というジュネーブ協定違反の「ジェノサイド」を経験している日本がなすべきことは、米英の性急な 軍事行動をたしなめ、国連の場での粘り強い対話と合意形成を追及していくことではないのか。米英の対イラク攻撃断固反対するとともに、小泉首相の政策転換を求めるものである。